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大物中国経済学者 辛らつな批判――中国経済モデルを酷評

2010年12月27日
大物中国経済学者 辛らつな批判――中国経済モデルを酷評

【新唐人日本2010年12月28日付ニュース】中国の経済成長は国際社会も認めていますが、同時に中国国内からは、それを楽観視しない見方も出てきています。経済の過熱を案じているためです。中国人民銀行(中央銀行)の通貨政策委員会の元委員、余永定氏は、中国経済のモデルは持続可能なものではなく、経済と政治の改革をしなければ発展を続けるのは難しいと分析しました。

12月23日付の英語版“中国日報”には、中国人民銀行・通貨政策委員会の余永定・元委員の投稿が掲載されました。中国の“尋常ではない”経済成長神話を酷評しています。では、余氏の分析に耳を傾けてみましょう。
 
中国人民銀行・通貨政策委員会の余永定・元委員
“中国過去30年の経済モデルは、計画経済が残した条件のもとで始まったものの、今はもうその潜在力を使い果たした。このため、中国の発展もある段階にまでくれば、経済構造を調整しなければならない。さもないと、強力な改革もできず創造力も持てないので、中国経済は成長の勢いをそがれてしまう。
 
さらに、中国経済は急成長を遂げるのと同時に、莫大な代価を払った。これらの代価は、後世にまで影響する。また、今、中国の投資率は50%以上に達しているが、これは、中国の資本効率が高くないことを意味している。
 
これほどまでに高い投資率だが、ここから2つの問題が浮かび上がってくる。1つは、投資の決定に地方政府が大きな影響力を持つこと。もう1つが、不動産投資が成長全体の4分の1近くも占めていることだ。
 
一部の地方政府は自ら穴を掘り、自らそれを埋めてGDPを作り上げている。結果、豪華な別荘や政府ビル、超高層ビルがそそり立つようになった。中国の都市では、欧米の大都市の五つ星ホテルよりも豪華なホテルすら多く見られる。
 
また、中国はすでに世界で最も汚染が深刻な国の1つになった。ほこりと煙が中国の各都市を覆い、国内の主要な河川はどれも汚染されている。干ばつや洪水、土石流の発生が日に日に頻繁になり、情け容赦のない開発が急速に中国の資源を使い果たそうとしている。
 
中国の輸出依存は、すでに構造的なものとなった。中国は世界の工場になったものの、創造力や改革の欠如が、中国経済のアキレス腱になってしまった。
 
さらに貧富の格差の広がりは、もう争う余地もない社会の現実になった。長年、収入の分配制度が金持ちに有利なものだったので、政府は優れた公共サービスを市民に提供できない。金持ちには手厚く、貧乏人は冷たい。こうして、社会の矛盾は深刻になる一方なのだ。
 
もし中国がすぐに、この構造的な問題を解決できないのならば、中国経済の成長は長くは続かない。どんな構造的な調整も痛みを伴うが、先延ばしにすればするほど、痛みはひどくなるばかりだ。改革や政策から利益を享受できる特定の人々は、今、既得権益集団と化しており、彼らはすでに手にしたうまみを手放したくはないのである。
 
中国の庶民が何よりも恨みを募らせるのが官業の癒着だ。だが政治エリートはすでに、媚びへつらいなどの政治文化で腐食してしまったので、このような権力者の“悪の同盟”を打破するために、中国には政治改革が必須である。つまり、経済を発展させるには、まず政治改革を行うべきなのだ”
 
この文章の作者、余氏は中国の政策制定に対し、大変大きな影響力を持っています。余氏のこの辛らつな文章からは、2012年、指導者層が交代する前に、中国の政策制定者の間で、激しい議論が行われていることがうかがえます。
 
英国“フィナンシャルタイムス”も評論で、中国国営メディアで、権力者側にいるベテラン学者がこれほどの不満を表したのは、きわめて珍しいと指摘。香港城市大学の鄭宇碩(ジョセフ・チェン)教授は、改革意識の学者の間では、指導者が権力争いに夢中になっている点を案じる声が強いと指摘。改革はすでに低迷しているといいます。
 
今年52歳の余永定氏は、中国社会科学院の学部委員で、オックスフォード大学の経済博士。中国社会科学院世界経済・政治研究所所長で、中国世界経済学会長も務めます。http://ntdtv.com/xtr/b5/2010/12/24/a472147.html#photo
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